お題で習作《日常編》  スケルトン

「ねぇねぇ、彬。彬は私のことどう思ってる?」  何気ない会話の尻尾に持たせた、何気ない私の言葉。  唐突だったにもかかわらず、ソファの隣に座った彬は少し照れたように頬を染めて答えてくれた。 「勿論、大好きですよ。だってひよりは私の友達、唯一の幼なじみなんですから」  当たり前じゃないですか、と彬は言う。私は腹の底を悟られないように微笑んだ。 「あの頃は楽しかったよね。鬼ごっこで野原を駆け回ったり、あやとりをしたり、禁止されてたけどトランプもしたっけ……」 「懐かしいですね! あの頃の私は、ひよりしか遊んでくれる人もいませんでしたから、何でもひよりと一緒にしましたよね」  そう、でもそれは遠い昔のお話。おとぎ話の世界のように美しく甘やかな日々だ。  私は小さく息を吐いてから、また彬に訊ねる。 「じゃあ、兼友のことはどう思ってるの?」
小野セージ
小野セージ
ちなみにセージは男性名ではなくハーブの名前のほうです。修行のためにお題を使った短編を不定期に投稿してみようかなと。登場人物はいつものうちの子です。