恋する日,僕の最期をこの言葉に

恋する日,僕の最期をこの言葉に
『出会った時から好きだったよ』 その言葉を残した彼はもうこの世にはいない。 今だから言える。彼と出会えたときから好きと。言えないのは連絡先が繋がってないとか海外に住んでいて電話ができないとかではない。遠くの地にいるから話せないから言いたいとかじゃない。簡単なこと。病気で亡くなってしまったからだ。産まれ持っての病気だったそうだ。簡単に治ることはなく退院しては入院しての繰り返し。まともに学校にも行けず,周りからはただの不登校だのあーだの言われ続けて来たがそんな言葉に負けずに学校に顔を出したりもしてきた。 「結愛,しばらくは学校行けそうだから僕が休んでた分のノートを取らしてくれる?」 彼が学校に来れた時の最初の会話は大抵これだった。でも今はなかなかボケっとしてられない。時間は通勤ラッシュの真っ只中。今の私ー結愛は彼の夢であった教師を務めている。ついつい,人の波に呑み込まれそうになりながらも電車のつり革をしっかり握る。揺られ揺れる。 「あぁ……最近墓参りに行けてないな。」 ふと電車の外の窓を見た。蒼く澄渡る空を仰いだ。 「この時代の歴史は大正デモクラシーが起きたの。色々と混んがらがるだろうけどきちんと復習してきてね。明日,小テストですし。」
嶌崎月夜
嶌崎月夜
TELLERでも活動しています。読み方はしまざきつきよ,です。普段書くお話は殺し物語ですがここでは恋愛物語を書かせてもらってます。よろしくお願いします。