とある場所
心が騒いでいた。
霧の朝、僕は踏みこんではいけない空間に足を運んでしまったからかもしれない。
怪しげに光る月明かりの反射。
空を浮遊するカラスのざわめく鳴き声。
忘れられた土地の教会のような建物。
そこは、街の外れにある、利用者の少ない図書館だった。中に専門書はなく、製本された日記だけが並んでいる。共通していたことは著者名もなく、年代も曖昧で、すべて一人称で語られていたということだ。
一度に読めるのはせいぜい1日分、本を読むのが苦手になってから、「物語」ではなく「生活の断片」だけを求めてこの場所に通っている。
他人の人生は、起承転結のある物語よりも、今日眠れなかった、何も感じなかった、そういう一行の方が理解できる。途中から意味が入ってこなくなっても,それでも体が呼応するように、ページをめくってしまう。
他人の人生なのに、既視感があった。読むほどに自分の生活と手触りがズレていく。他人の日記を読んでいるのか、自分が書かなかった日々を読んでいるのか、分からなくなっていく。……
最後のページには、こう書かれている。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2026/2/1 19:43
ココロナシ
19歳です。よろしくお願いします。
あたたかなコメント励みになっております。ありがとうございます!
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