海に届けたい

 好きな人、がいた。彼は海を越えたところにいて、私に初めて言葉を超えた繋がりを教えてくれた。留学先で出会った、彼の瞳に目を奪われた。  届けたい。何度も、そう思った。瓶に手紙を入れ、海に流したこともあった。彼に届くことを願って。  でも、結局そんなのは幻想なのだと思った。国が違う限り、彼と会うことはないし、ましてや付き合うなんてことはない。でも、海を見るたびに彼のことを思う。彼は今、どこで何をしているのだろうか? そんな切実な疑問を心に抱きながら。  海に届けたい——。さざなみに消されたその願いを、私はいつまで持っているのだろうか。  波の音が、ひどく煩く聞こえる。
シャイニー
シャイニー
こんにちは。いろんなジャンルを書いていきたいと思います。