チーズ

チーズ
チーズは16歳の時の恋愛のように生臭い。 まだ世間も、愛も、自分自身すら知らない。ぎこちなく触れ合って、すぐに傷ついて、まだ発酵の加減を知らないままに、何かを欲しがったり、何かを怖がったりする。 それは一種の熱病だ。鼻につく匂いも、今思えば、悪くなかった。 18歳になると、チーズは爽やかになる。 少し風を通して、湿った場所から抜け出して、自分がどんな味なのかを知り始める。 誰かを好きになるのも、少しだけ上手になる。 だから恋愛は、春の初めみたいに軽くて、明るい。 冷えた白ワインに合わせるフレッシュチーズのように、ほんの少しだけ背伸びして、それでいて不安を隠せない。
あや
あや
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