伊流霞

伊流霞
上を見渡すと、青空は無く、満面の緑が広がっている。そして鼻には緑特有の心地よい香りが広がってくる。 ここは森の中。二人の少女が大地を踏みしめる。 一人は私。もう一人は−− 「さようなら。」 もう一人の少女はそう告げると、ザッザッと緑を踏みしめ、去った。 「待っ……!」 バッと布団が捲れる音と共に私、赤坂実子は目覚めた。それから「ふぅ。」とため息を吐くと、のそのそベットから出る。 そして、「嫌なことを思い出しました。」などと呟きながらキッチンへと立つ。 慣れた手つきで料理を始める。料理と言っても炊いた米をよそり、スクランブルエッグを作っただけだが。 けれど昔からなんでも人より飛び抜けて出来る人間だった故に料理もつくった品としての質としては兎も角、白米は高級炊飯器で炊いたかのような食感だし、スクランブルエッグも世の中のお母様方の中ではかなり上位に入る出来栄えだと思う。
熟考する無鉄砲
熟考する無鉄砲
地雷はなく、どのジャンルも嗜みます。よろしくお願いしまーす。