地獄のない世界
俺はある日、トラックにはねられ、事故で死んだ。
焦りながら近寄ってくるトラックの運転手、パニックで悲鳴をあげる女性、何が起こったかもわからずこちらを見つめる小学生、俺はこの景色を見ながら死んでいった。
これでいいんだ。これでやっと死ねた。俺は昔からこの世に退屈していた。早く死にたい、天国を見たい、地獄を見たい、この退屈から抜け出したい。
でも、あの世は、俺が思っていたものとは違った。閻魔様から告げられた一言目は、天国でも、地獄でもなく、衝撃の言葉だった。
「君は次、記憶を残したまま、転生しよう。」
「え、ちょっと待って。天国は?地獄は?」
「君は転生、もう決まったの、何より君は事故死でしょ、天国でもないし地獄でもないよ。」
その後俺は、驚きで一言も発せぬまま転生した。
次の人生も、とても退屈だった。
結婚して子供もできた。それでも、俺の退屈が晴れることはなかった。そしてここにきて初めて自殺をした。
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カテゴリー: ミステリー
投稿日時: 2022/2/11 15:55
最終編集日時: 2022/3/10 7:15
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
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