所有者

 私のDMにメッセージが届いた。富田麻実という子からだ。彼女は私の隣人で、初めてこの町に来たときの唯一の友達だった。だが、あみが引っ越してしまってから、私はどこかでずっとあの頃の自分を失ってしまった気がした。  メッセージの内容は簡潔だった。後藤さんに私たちのことがばれた、ということだ。そう私は後藤さんと付き合っていることを知りながらあみを喰ったのだ。だが私は冷静だった。彼があみを愛したことなど、ただの一度だってなかったと、私は知っていた。後藤さんの愛情は、一度も彼女を暖かく包み込むことがなかった。あみは、何もわからなかった。  私はあみの家に行った。会って数十分してからやっと会話の時間がきた。あみが言った。「私が欲しかったのは、ただ、あの言葉だけだったの。あの人が言ってくれた“お前は可愛い”って。でも、それは一瞬のことだったのよ。」  私は、何も答えられなかった。あみは、ただ可愛い女の子になりたかっただけなのだ。そのために、あれだけ努力したのだろう。どれだけ彼にすがりついて、どれだけ自分を差し出しても、後藤さんにとって、あみはただの玩具に過ぎなかった。あみが泣きながら言った。「どうしてあたしは、あんなことになったんだろう。私がこんなことになるなんて、誰にも言ってもらえなかった。」  彼女が望んだ愛とは、結局、そんなものだった。欲しいのは一言の「可愛い」と、ただそれだけだった。それが、後藤さんにとっては、ただの遊びだった。あみの身体も、心も、すぐに捨てられるようなものだった。あの時、彼の言葉で少しでも幸せだと思った自分が、今では耐えられなくなっているのだろう。  あみは、深く沈黙していた。「可愛くないあみは、死ぬべきだ。」  その言葉に、私が言ったことを覚えている。「生きていれば、何とかなるよ。」  あみは少しの間、何も言わずに見つめてきた。その眼差しが、私の言葉を一切信じていないことを伝えてきた。  「それは、持ってる人の言うことよ。私みたいな人間には、もう遅いのよ。」  「何かできることはあるか?」
宮野浜
宮野浜