重ね続けた嘘

重ね続けた嘘
 いくら真実を言っても信じてもらえない。俺は彼女に『愛してる』と伝えた。それなのに、何故、愛してくれないのと責められた。  もう、俺たちは限界なのかもしれない。  今日こそは別れを告げよう。そう決意をし、家を出る。  何の変哲もない日常だった。今日と変わらずに明日が来るものだと思い込んでいた。  しかし、俺に明日は――いや、彼女に挨拶を告げる時間すら訪れなかった。  俺が運転する車に向かって、逆走車が突っ込んできたのだ。恐怖に震える中で、痛いと思う間もなく、俺は自身の身体から幽体離脱をしていた。  俺は死んだのだろうか。それならば、何故、意識は残っているのだろう。  救急車に運ばれる自身の身体を見送りながら、たった一人で途方に暮れていた。  そうだ、彼女に会いにいかなくては。一緒にいられなくてごめん。そう伝えるために。  家まで辿り着くと、チャイムを鳴らすそうと手を伸ばす。だが、触れられなかった。透ける身体でドアを通り抜け、彼女の前へと歩み寄る。
ナナミヤ
ナナミヤ
ファンタジー、時々現代なSSを載せています。エッセイも始めました。 気まぐれ更新です。 フォロー、♡、感想頂けると凄く嬉しいです♩ 他サイトでは連載小説など、小説家になろう、カクヨム、NOVEL DAYSで投稿しています。Prologue も始めました。 必ずフォロバする訳ではありませんので、ご了承下さい*ᵕᵕ お題配布につきましては、連載している『お題配布』の頁をご確認下さい。 小説の著作権は放棄しておりません。二次創作は歓迎ですが、掲載前に一言でも良いのでコメント下さい。 2025.1.23 start Xなどはこちらから↓ https://lit.link/nanamiyanohako お題でショートストーリーを競い合う『NSSコンテスト』次回2025.9.1.開催予定です。 第1回優勝者  ot 様