淡桜と天気雨。
第一話
「あー…暇だぁ…」
なんとも言えないような溜息をつきながら、私はお弁当箱を片手に中庭に出る。いつもは友達とだべりながら教室で食べるのだが、生憎今日はその友達も休みである。
「あ、桜。もう散りかけじゃん。まぁここでいっか」
中庭の中央に堂々と生えている葉桜。その下のベンチに腰を落ち着け、時間もないので渋々私はお弁当箱を開いた。
卵焼きと、カレー炒めと、のりポテにエビ焼売。味気ないおかず達を米と一緒に口に運びながら、私は頭上を見上げる。
シーズンを過ぎ、ほとんど散ってしまった桜。今では青々しい葉に主役を奪われ、なんとも哀れである。
(…まるで、私みたい)
ぼんやりとそんなことを考えていると、不意に頬に何かが滴る感触がした。続いて、ぽたり。冷たい雫はみるみるうちに増えていき、少ししてから私はそれが雨だと認識する。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2023/4/18 9:24
霧咲水蓮
NL、BL、GL、ハピエンから死ネタ、メリバまで、多岐にわたって大好きな雑食です。
最近は特にGLを中心に書いています。
投稿頻度はクソ以下です。