「ノブ」は拾わないで。

「目玉焼きが食べたい」 「食べなよ」 淡白に返された言葉とぺらりと本を一枚めくる音が少女ら二人だけの放課後の教室に響いた。開け放たれた窓からは蒸した後の蒸気のような風が吹き込み、外では煩く蝉が喚いていた。 「卵焼きがたべたいー」 「だから食べなよ」
夜音。