白雪姫
昔々、雪のように白くて可愛らしいお姫様がおりました。王様はその姫に「白雪姫」と名付けて大変可愛がりました。ですが、白雪姫が生まれて間もなくお妃様はこの世を去りました。白雪姫に母親という存在がいないのは、可哀想だと思い王様は新しい綺麗なお妃様を迎え入れます。新しいお妃様は白雪姫の美しさに嫉妬して白雪姫を殺すように家来に命じます。ですが、家来が白雪姫を殺すことはできませんでした。お妃様はそれに激怒し、自ら白雪姫を殺そうと試みます。長い長いマフラーで白雪姫の首を絞めて殺そうとしたり、毒林檎を食べさせて白雪姫を殺そうとしました。ですが、毒林檎を食べた白雪姫は、王子様の愛のキスで目覚めてハッピーエンドを迎えましたとさ。めでたしめでたし。
これは、誰もが知っている童話の白雪姫。本当のお話は誰も知らない。
昔々、ある貴族令嬢がいました。その令嬢は誰もが二度見するほど綺麗な人で高嶺の花と呼ばれるくらいの容姿を持っている人でした。それ故に誰も手を出すことが出来ずに、結婚の適年齢を等に越していました。そんな彼女に届いたのは、王様と結婚という名誉である命令状。家門からすれば、とても名誉で地位を確立できる絶好のチャンス。だけど、彼女にとっては自分と一回り以上違う男性との結婚。王様からすれば、彼女は娘と見られても可笑しくない歳の差の結婚だった。彼女はとてもない絶望に堕ちた。お妃となっても、きっと自分よりも年上の家臣からは下に見られ鼻で笑われる。侍女だって付けてはくれないだろう。なんて言ったって王様は「何も言わない可憐な花」を要求したのだから。令嬢の父は彼女を可哀想に思い魔法の鏡を一つ持たせて王様のところへ嫁入りへと行かせた。
だが、彼女にとって王様と結婚は悲しい話ではなかった。
彼女は、白雪姫と出会ったのだ。
雪のように白い肌の上には淡いピンクのほっぺた。クリンとした丸っこい目は、今にもこぼれ落ちそうなくらい大きくてその瞳の中は、サファイヤのような綺麗な青色が眠っている。彼女は、白雪姫に恋をしたのだ。お妃となった彼女は、白雪姫と仲良くするために頑張ります。お花を取って花冠を作ったり彼女の為に洋服を送ったり。お妃は、毎日のように鏡に訪ねます。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのはだあれ?」
『それは、白雪姫です』
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2024/1/24 13:35
田中
心に残る小説を。