短編①糸電話

短編①糸電話
空はとても暗かった。地球は、青かった。 「…ェー、こちら2組。聞こえますか?繰り返します。こちら2組」 「き……す…ざ、…る?……ィ、……ろ」  ところどころ聞こえてくる短音に、蓮は顔を顰めた。 「あ?なんだこれ、なんて言ってんだよ」   紙コップをしっかりと耳にあて、目を瞑りもう一度耳をすませて見せたが、何も聞こえない。 「貸してみ」  隣でしゃがんでいた涼太が蓮の手から紙コップを取り、自分の耳に当てた。  真剣な顔で目を瞑るその表情は、いかにもこれからの地球を左右するような、重要な何かについて考えているような顔だった。
逢坂
青春、現代ドラマ、日常が好きです。たくさん読みたいです。よろしくお願いします!