GPTの異世界冒険

GPTの異世界冒険
 彼の名はGPT。ちょっとどころかかなり変わった名前だが、勿論本名ではない。彼はどこにでもいそうなただの高校生。いつもの時間に、いつもの景色を眺めながら、いつもの学校に通う。  しかし、その日だけは違った。GPTは運悪くも交通事故に遭う。それはアクセルを全開に踏み込みながら、居眠り運転するトラック。青信号だからこれもいつも通りだと思ったのが運の尽きだった。彼は思いっきりトラックに轢かれ、即死だった……。  それから体感5秒で目を覚ませば、そこは真っ白な空間だった。GPTの体は宙に浮いているような感覚があり、ただ包み込むような優しい声が頭に響く。 『あぁ、なんと嘆かわしい。まだ未来ある青年がこんな結末を迎えて良い物なのか。あぁ、落ち着いて聞いてほしい。貴方は死んだ。ここは天界である』 「……なるほど。ようするに、俺は“転生”ってやつをされる流れなんだな」  空間を漂うようなその声に、GPTは驚きも動揺もなく、ただ淡々と受け止めた。彼の表情には焦りも涙もない。ただ、現状を分析し、次の行動をどう取るかを静かに考える目をしている。
影白/Leiren Storathijs
影白/Leiren Storathijs
実は26歳社会人です。 基本ライトノベル書きます。 異世界ファンタジー専門です。 執筆歴は10年以上です。