眩暈
眼前の真っ赤な絵画をいつまでも眺めていたいと思ってしまった。それは、背丈の倍ほどある大きさに圧倒されたからでも、極められた技量に衝撃を受けたからでもない。その絵画は、高く叫び、どこまでも行こうとしていた。
自室の隅に座り「西洋美術の簡単な歴史」という題の本をペラペラとめくり、適当なページを開く。文字は読まず、絵画の写真だけを見つめる。時には三十分見つめ、時には数秒だけ見つめる。今日は五秒で本を閉じた。
振動が机に伝わり、着信音を切った携帯が電話を知らせる。
「はい、もしもし」
着信画面の美香子の文字に目線を送る。
「あ、もしもーし」
少し落ち着いたトーンで美香子が応える。
「どうしたの」
「どうしたも何も、由香子最近アトリエに来てないと思ってさ。なんかあったの」
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2026/1/19 1:31
K
色々書いています。