桜の木の下で君と 第2話

桜の木の下で君と 第2話
「ああそうだ... 綾瀬君...だよね?」 目の前の少女は僕にそう言った。どうして僕に話しかけたのか? 高々何週間か同じ空間にいるだけなのに 「そうですね」 僕は言葉を返した。一般的な男子高校生なら狼狽えるか下心を丸出しにするかの二択だろう。 だが僕は人間に興味は無い。 だが... 彼女の「どこかで見たことがある」という言葉に本能的に反応してしまう。 下心ではなく、生理的に。 もう一度彼女の風貌を見る。 肩より少し上のダークグレーの髪はうねりを知らずまっすぐ伸びている。 同じ色の瞳は好奇心に溢れている。初雪を思わせるほど白い肌。
涼夏清華
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