【超短編小説】「乱反射」

 ビーッ。ビビビ、ビィーッ。  夜明け前、地平線の向こうから、セロハンテープを芯から剥がす音が聞こえてくる。  ほっとする音だ。今日も安心して空を見上げることができる。  やがて、夜明けの時間がやってくる。  カーテンを開け、窓の外を見る。  太陽が昇ってくる。傷だらけの太陽だ。  しかし、その傷は、しっかりとセロハンテープで補修されている。  いびつな光が空を染める。雲が浮かんでいる。雲ももちろんセロハンテープまみれだ。  光が乱反射して空はお祭りみたいだ。  こうして、中古の世界に、今日も新しい朝が来る。
六井 象
六井 象
短いものを書いています