【超短編小説】「乱反射」
ビーッ。ビビビ、ビィーッ。
夜明け前、地平線の向こうから、セロハンテープを芯から剥がす音が聞こえてくる。
ほっとする音だ。今日も安心して空を見上げることができる。
やがて、夜明けの時間がやってくる。
カーテンを開け、窓の外を見る。
太陽が昇ってくる。傷だらけの太陽だ。
しかし、その傷は、しっかりとセロハンテープで補修されている。
いびつな光が空を染める。雲が浮かんでいる。雲ももちろんセロハンテープまみれだ。
光が乱反射して空はお祭りみたいだ。
こうして、中古の世界に、今日も新しい朝が来る。
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2024/11/5 14:59
六井 象
短いものを書いています