偶然
私は今落ちている。物理的にだ。耳に風の音が入り込んでくる。
「嫌だ…やめてくれ、お願いだか…」
また一人昇っていった。そしてそのまま爆ぜた。赤色が落ちてきて私の服にかかる。でも、別に構わない。かかってもわからないから。あと少しで下を向けそうだ。でも、今日もここで終わってしまった。
いつもそこで目が覚める。これは私が見る夢だ。いつも私はどこか空で落ちている。誰か知らない人が風船のように浮いていき、風船のように割れる。下を向こうとする。月に10回ほど。もう3年になる。
「またこの夢か。もう…364回め。」
現実にいることを確認するように独り言をこぼした。ニャァと返事が返ってくる。
「おはよう。マタ。」
今度は返事がなかった。寂しいなぁ。布団から抜け出し、カレンダーにチェックをつける。この夢を見た日はカレンダーにチェックをつけることにしている。寝汗もひどく、シャワーを浴びようと服を脱ぐ。鏡に映る私の首が赤くなっている。いつものことだ。この夢を見るとこうなる。ストレスかなぁ。顔を洗い、朝食を摂り、薬を飲み、仕事着に着替え会社に向かう。
ビルが立ち並ぶ道を歩き、オフィスに向かう。今日も取引先の人来るかなぁ。無茶なお願いされてまも対応できないって。そんなことを思っていると人が落ちてきた。自分の十数メートル先。なにこれ。ちょうど工事中で、その事故のよう。落ちてきた人は多分もう死んでいる。でも、その顔にはなんとなく見覚えがあった。夢で見た人だ…と思った。
「朝から災難でしたね。そんな事故を見ちゃうなんて。一応、こちらとしても聞きたいことは聞き終わりましたしもう行ってもらって大丈夫ですよ。」
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2023/7/7 15:44
最終編集日時: 2023/7/7 15:49
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
まつり