親友 いみこわ

 東京に行っていた友人が福岡に帰ってくる、そんなわけで私はワクワクしながら、家の近くの喫茶店に向かっていた。  彼とは小学校時代からの同級生で、毎日一緒に、笑って、泣いて、遊んで、周囲からは兄弟のようにみられていた。  しかし、中学、高校と時間が経つうちに彼といる時間も少なくなった。それでも、たくさん悪さをしたり、部活に励んだり、恋をしたりと青春を楽しんでいた。  彼はたいして勉強もしてないのに頭がよかった。そのため、ちょっとの勉強だけで、東京の某エリート大学へ行ってしまった。それでも、彼は自慢することもなく、とてもカッコよかった。(少し悔しかったが…)  気づくと、喫茶店に着いていた。スマホを見ると、午後十二時過ぎだった。  約束の三十分までには少し時間があるので、コーヒーを注文し、スマホを眺めながら待つ。  約束の三十分になった。  彼はまだ来ない。   私は怖くなった。  彼は昔から時間は絶対に守る人で、遅刻してきたことなどは一度もなかったからだ。
あいうえおむらいす