メリーゴーランド

メリーゴーランド
 気がつけば、いつだって私の隣にはこうくんがいた。 「こうくん」 それは、ずっと変わらない存在だと思っていた。 でも、変わらないものなんてない。 メリーゴーランドのように、いくら回っても追いつけないものがあるー。    物心ついた頃から、家が隣のこうくんとは兄弟のように育ってきた。一番鮮明に残っている記憶は、暗くなるまで裏山で遊んだあの日の出来事。あの日、こうくんは裏山に作った秘密基地へと案内してくれた。こうくんは、私の手を優しく引きながら、急な斜面を一生懸命登ってくれた。  突然、木々の視界がパッと開けたとき、世界が一変したんだ。そう、それはまるでー。色彩で散りばめられた、パレットのよう。赤とオレンジと黄色の水彩絵の具を混ぜ合わせたかのような、美しい空だった。まだ少し残っている青空が、夕日に照らされて存在をアピールしている。山のあちこちには、百合が一面に広がっていてとても優しい香りがした。
moon
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15歳。