落ちてきた子はコウノトリの子?

真っ暗な窓に囲まれて僕は教室で勉強していた。蛍光灯の光が眩しくて、僕は数回瞬きをする。大学ノートに外国語をつらつらと書き込む。僕は少し眠かったけど、こんなところでへこたれる訳にはいかない、大学に行きたいから。大学に行くために貰えるタイプの奨学金を勝ち取り、足りない分はアルバイトで補填できるようにした。本音を言うなら全額欲しかったけど、それは学力が足りない。身の程を弁えて欲張りが出ないようにしたい、そんなことを呟いた気がしたけど、これはまごうこと無き負け惜しみだ。 僕はノートの末尾に日付を記入して、ノートを閉じる。教科書を机の隅に寄せて、学生服のポケットに大切な文房具を押し込んだ。シャーペンがポケットの中で太腿を刺した、痛い。 僕は校舎を出た。既に校門は施錠されていたので、僕は校門をよじ登る。学校の校門は最近は何かと物騒だからと言われるが、この辺りは昔から歓楽街もあったし、昔から物騒だった。僕が今しているアルバイトだって責任の一端はあっただろう。母にだって、僕にだって、でも悪くしているつもりはない、そうしなきゃ生きていけないんだから。 月は僕の真上にあった。いつもよりオレンジ色で、大きくて、世界の終末を思わせる光景をしていた。先生は月が地球に一番近づく、特別な日だと言ってたっけ? でも今日の月は僕の短い人生で見た中で一番大きな月で、隕石として落ちてこないか本気で心配だ。だってよくある映画の地球滅亡のシナリオに月が地球に落ちてくるなんてありふれているから。 「今日世界は滅亡するかもしれない」僕は闇に向かって呟いた。 街灯もまばらで地面だって定かではない、そんな暗闇の中に響いた僕の言葉は静かに消えていく。僕は月を眺めながら歩いた。 僕は目が良いからクレーターの窪みが見えた。何故か僕にはうさぎが餅をついているように見えなくて、いつも鋏のサイズが左右で違う蟹みたいだと思っている。 「蟹みたいだぁ」また僕は呟く。独り言は僕の癖みたいなものだ。 「蟹食べてみたいなぁ」
鶴さん
鶴さん
特に西尾維新、森博嗣、舞城王太郎、貴志祐介が好き。 (`・∀・)ノイェ-イ!