[第4回NSS] 毒林檎

 ある王国に、1人の商人がやってきた。彼は城へ向かい、とある林檎を王に売り付けた。 「王様、これは毒林檎で御座います。毒林檎には呪いがこもっていまして、これを誰かに食べさせると......」  商人がそう言い終わらない内に、馬鹿馬鹿しいと王は林檎を庭へ投げ捨てた。それはどう見てもただの林檎に見えたし、王は呪いなど信用していなかったからだ。  しかし、物語はこれで終わらなかった。林檎が落ちた庭からは木が生え、やがて赤い実をつけた。そして不思議なことに、それを食べた王は直ぐに死んでしまった。人々は毒林檎の呪いだと騒ぎ果物に決して食べなくなったがやがて恐れて果物を食べなかった者たちも死に絶え、国は無惨な死体で埋まる。  その様子を、1人の物乞いの少年がじっと眺めていた。彼は苦しみから逃げるため、毎日林檎を食した。それでも、彼は死ねなかった。ある日、少年が遺体を埋めていると、遺体から細長い蟲が溢れてきた。打撃では死滅せず咄嗟に持っていた林檎で殴りつけると、寄生虫は林檎の汁に当たって溶けた。少年は理解した。林檎が毒では無い、林檎を食べないことが毒だったのだと。全てを理解し、彼は静かに笑った。
除草機1号
除草機1号
基本超短編を書きます。ストーリーは何となく決めます。新参者ですがどうかよろしくお願いします。