刺さる言葉の中折れち⚫︎こ

ここ最近、しっぽり雪の降るお空眺めながら。ふと、おれは、学生時代の青くもない真っ平な灰色のモラトリアムを。そう、凍てつく指先で、煙草求め、吐いた。そんな感傷に、随分とぶれる思い出にーー。  彼女のなまえを少なくともフルネームで覚えてないくらい、おれは乳房しか見てなかった。いや、乳房すら見てなくて、そいつは確かな妄想の賜物で。あの、初めてしったディオールとかいうブランドのリップの色合い。ベージュだった、乳首と案外同じ色の、あのベージュ。彼女のなまえは、三年も付き合った年上の女に振られた先輩が、みやちゃんと馴れ馴れしく。おれじゃ呼べない、惰性を呼んでいた。  また肌寒い夜のうち。みやちゃんと呼ばれた彼女の家に、おれたちはお呼ばれした。先輩は、鬼殺しなんて大層なもんを持って。派手な髪のヘソだしピアスのナツキさんの腰回りをじろじろ。おれはそれに釣られそうになったが、みんな下心あっただろう。なんせ同期の保科すら、眼鏡曇らせて。おれは、彼女の家、母親と住んでる家に呼ばれていた。  部屋は普通のアパートだった。彼女は奨学金で、母親はまだ若く、夜職ついていた。とんと詳しくない世界の、電気ブランの味わいに似て。先輩に連れられた、フィリピンパブを彷彿と。 ーーからん、電気ブランがレモンソーダで割られた。  彼女はおしぼりで、その長めのコップを拭きながら。そうやって、おれにカクテルをだす。名前も知らない、先輩がいつも飲むやつはテキーラサンライズ。保科は、梅酒をちびちび。ぴりりと携帯が鳴りながら、ナツキさんは舌ピも出して。しゅぽっと、指で輪っか作りながら、保科を揶揄っていた。
西崎 静
西崎 静
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