故郷(半スラム街)
故郷はど田舎の半スラム街だった。
うららかな晴れた日には、ホームレスが水たまりで行水をし、近所のガキが猫を川に放り込む。下流を見ると、素行のよろしくない少し年上の兄ちゃんがザルを持って小銭拾いをしている、そんなのが日常であった。
ど田舎ゆえ小学校に自前の農場があり、「農作業」という絶望的な授業があった。1、2時間目:農作業。鍬や鎌を支給され、雑草とりや土ほぐしをやらされるのだ。「ふざけた男子が鎌で足を切って運ばれたことがあるので気をつけるように」と、あっさりした注意事項を受けながら、男子達がチャンバラをしていた。一揆のある時代だったらさぞかし活躍しただろう。
女子も女子で「強い=カッコいい」な思考回路の子が多かったので、素行の悪い男子の人気がすこぶる高く、さらに素行を悪化させる悪循環を形成させていた。
私は素行の悪い男子には興味はなく、「かんしゃく玉」だの「けむり紙」だの入手困難なアイテムを所持している男子に取り入って、宿題の答えと引き換えにせっせと闇取引を成立させる日々を送っていた。
こんな生活を中学まで送っていたから、日本全国みんなこんなもんだと思ってた。違った。
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2022/2/16 17:42
霜月穂
暇つぶしに読んでいただけると嬉しいです。日記だったり思いついた話だったりを書いていきます