オーボエ

オーボエ
五十七歳の浅井が高校の音楽室に忍び込んだ理由は、笹本のオーボエを舐めるためでした。 もうとっくに日は落ちています。音楽室どころか、校内にすら誰もいません。 笹本のオーボエを見つけた浅井はマウスピースを外し、それを口に含みました。粘膜の全てにその先端が触れるまで、浅井は舐め続けました。口の中が彼女の味でいっぱいになります。 何も怖がる必要はありません。 見られたら殺せば良いのです。 浅井は一心不乱に舐め続けました。彼女のマウスピースが彼の口の中を湿らせ終えた時、廊下から足音が聞こえてきました。
渡利
渡利