綺麗な人
夏の終わり頃、雨の降る道で傘もささずに歩く女の人が目に留まり、思わず足を止めた。
パーカーが細い肩に重たく垂れ下がり、長い髪が白い頬に張りついていた。前髪の隙間から覗く大きな瞳は、どこか少年のように凛々しかった。
綺麗な人だった。
あんな顔に生まれたら、どんな気分なんだろう。
彼女もこちらに気づいたらしく、少し笑った。
「そんなに変?」
突然声をかけられて、驚いた。
凛々しい顔立ちからは想像していなかった、柔らかくて可愛らしい声だった。少し幼さの残るその声が、彼女の儚げな雰囲気によく似合っていた。
「え?」
「傘さしてないの」
0
閲覧数: 49
文字数: 4799
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/10/21 8:31
新規ユーザー