初恋

初恋
銀木犀が香ると、決まって彼女を思い出す。 転校してきた秋、教室の隅で小さく笑った彼女に、なぜか惹かれた。 放課後の帰り道、風に揺れる髪からも、ほのかにあの香りがした。 「この花の名前、知ってる?」 彼女はそう言って、銀木犀のことを教えてくれた。 「金木犀とは違うの?」 「金木犀も良いけど、私は銀木犀が好きだな」
寸志
寸志
はじめまして 恋愛小説を書くことが多いです。