庭にマグマができました。⑧

 家への帰り道、人気はほとんどなかった。俺はずり下がるリュックサックを何度も持ち直す。その度に背中にずしりと重みが加わった。貸し出しの限度である十冊の本がリュックに入っている。ここに答えがあるとは思えなかったが、手ぶらで帰れば彼女に合わす顔がない。今日は徹夜で本をむさぼり読もう。寝不足で古本屋に行っても何の影響もないのだから。 「ただいま」  玄関のドアを開けて中に入った。  靴を脱いでいると、リビングの方から彼女が現れた。よろめきながらこちらに近づき、俺の前で崩れるようにしゃがみこんだ。 「マグマが、マグマが」
アズマ
アズマ
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