ジャージャー麺(続きです

仁川空港から祖母の家に着くと叔母はジャージャー麺を用意してくれていた。 年に一度は私も母に連れられ訪れると必ず叔母が振る舞う馴染みの味だった。 息子はジャージャー麺には目もくれず、祖母達が着くなりプレゼントしてくれたプラスチック製のB.M.Wを家中乗り回している。 叔母の一人娘であるユジンが息子を逮捕するぞーと言いながら追いかけていて、祖母はその光景を見ながら私にあなたの小さい頃にそっくりねと言った。 私自身も一人っ子だったので子供の頃ここに来ると、一つ年下であるユジンが兄妹ができたみたいに思えて嬉しく、家中はしゃぎ回っていたのを思い出していた。 息子はユジンに逮捕され、抱きかかえられて食卓に連行されてきた。 ユジンの膝の上が心地よいのか、観念したように細かく刻まれたジャージャー麺を食べ始めた。 私はユジンにありがとうと目で合図を送ると ユジンはお兄さんも今日からよろしくねと言って微笑んだ。
たかし
本を読むのが好きで自分でも書いてみたら意外と面白いという事でやってます。 伊藤計測「虐殺器官」「ハーモニー」村上龍「コインロッカーベイビーズ」夏目漱石「夢十夜」安倍公房「砂の女」etcが好きなので、そんな雰囲気な物を書きたいです