前の席

中学の頃、私はあの子のことがずっと好きだった。 席は私の前。授業中、ノートを覗き込むと、ふとした仕草で髪をかき上げたり、小さな笑い声をこぼしたりするのが見えた。 でも、あの子に彼氏ができたことが学年中に広まったあの日から、あの子は学校に来なくなった。 最初の頃は、まだ戻ってくるだろうと信じていた。 月日が経ったある日、教室に入ると、前の席には当たり前のように誰かの荷物が置かれていた。 その瞬間、胸の奥がキュッと締め付けられた。 あの笑顔も、あの仕草も、もうここにはない。
寸志
寸志
はじめまして 恋愛小説を書くことが多いです。