責任

責任
審議会の円卓の中央には、二つのボタンが据えられていた。 赤いボタンを押せば、医療革命で数億人を救うとされる「千年に一人の天才」が生き残る。青いボタンを押せば、名もなき「一般人十人」が助かる。「計算は明白です」と、最新のアナリストが端末の数値を指し示した。「天才がもたらす未来の総利益は、十人の生涯価値の数百万倍に達します。全体のために、答えは一つしかありません」 しかし、議論は難航した。人権団体が叫び、倫理学者が頭を抱え、世論は二分された。「命を価値で選別するのか」「いや、未来の数億人の命を見捨てるのか」 言葉の応酬が何日も続いた。 そして、ついに運命の期限が訪れた。 議長は苦渋の表情で立ち上がり、決断を下した。 「我が国は、人間性の尊厳と平等を守る。誰一人生贄にはしない」
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2026/10/10 7:29
最終編集日時: 2026/10/10 7:34
まるにくろ