別れはいつも謝罪とともに ⑧

別れはいつも謝罪とともに ⑧
「ゆか」 「叶斗」  朝比奈先生のいる保健室に向かうには、キョンシーたちの住む寮のそばを通る必要がある。そんな場所をひよりに歩かせては窒息死するだろうと思い、黒暗の森の周りを一周して保健室に向かう。 …かなりの迂回となるのだが。  黒暗の森の周りには泥濘門があるので、叶斗に会うのは予測済みだった。 「えっ、獄卒??」  叶斗を見たひよりは驚く。理解の早いことだ。 「人間じゃん。ゆか、こいつ地獄送りの人間? そーだよなぁ、なーんか問題起こしてそうだわ〜」 「叶斗、そういうこと言わない。ほんと精神年齢が幼い。私より年上とは思えない…」  はあ、とため息をつく。私は高校2年生で死んだので、一応高校2年生ということになっている。叶斗は大学2年生。…まあ、年代が違うんだからあまり当てにはならないのだけど。
颯兎ちり
颯兎ちり
早とちりな学生。不定期です。