エッセイ smokes daydream

エッセイ smokes daydream
「好きなものはなんですか?」 昔、そう聞かれて即座に答えられる程の「好き」と今まで出会って来なかったのだと改めて気付かされた。文章面、少しネガティブな印象を受けるかもしれないが、そんな人生を掛けた様な話ではないし、例えるなら「あ。洗濯機の中に洗濯物入れっぱなしだったー!」程度のものである。とは言え返答に困っていると 「じゃぁ、趣味は?」 好きなものをパッと答えられ無い人間としてはその「趣味=好きなものでは?」と少し意地悪な思考に陥ってしまう。 もし、例えば私が「筋トレ」が好きだったとしたら、暇あれば「ダイエットしなきゃ」なんて思うことは無いだろうし、「アロマ」が好きであれば、恐らく1週間部屋の掃除をせず、深夜に唐突にゴミ袋を広げることもないだろう。こう云う時の頭の回転の早さには自分でも驚かされる。更には「逆に何が好きなの?」なんて質問返しをし、「へぇそうなんだ!それって、どれくらいの…」なんて気の利いたMCを気取る事でその場を凌ぐこともできる。時間はあっという間で、相手の話を一頻り(ひとしきり)聞き、満足そうな表情を見て、こちら側としてもやり切った感と変な達成感に気持ちを昂揚(こうよう)させコーヒーを飲み干す。最後に「何か見つかると良いね」と言われて、その高揚感は一気に消え失せた。
“Y”
“Y”
喫茶店を巡りながらエッセイを書いてます。 文字をこねくり回して言葉にしてますので、宜しくお願い致します!