こわす
甲府南インターチェンジから高速道路に入る。目の前には「長野行き」と書かれた看板が左に、「東京行き」と書かれた看板が右にあって、私は少し迷ってから、右へハンドルを切った。
助手席に座るミサキが焼きそばパンを頬張っている。私は焼きそばパンを買う人間のことを軽蔑している。焼きそばが食べたい時には焼きそばを食べるし、パンを食べたい時にはパンを食べる。焼きそばには焼きそばの良さがあり、パンにはパンの良さがある。二つ合わせれば良いものになるというわけではない。車内に焼きそばの匂いが充満するのが嫌で、私は運転席の窓を少しだけ開けた。彼女に気づかれないように。
「仕事何時からだっけ」
窓を開けたことが悟られないように、私は彼女に尋ねた。
「シフトは21時から。でも別に間に合わなくても怒られたりとかしないし、ゆっくりでいいよ」
月曜日午後六時の中央道は空いていて、開いた窓からは排気ガスの匂いがする。
「てか、寒くね。なんで窓開けたの」
私はもごもごと言葉を反芻しながら、「外の空気を吸いたかったから」と言った。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/11/19 15:28
最終編集日時: 2025/12/26 18:42
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
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