ファインダー越しの逆光

ファインダー越しの逆光
 夕暮れ時の小さな公園。水平線に沈む夕日にレンズを向ける君。真っ赤な空と対象的に、影の落ちた君の背中。  一瞬吹いた風が君の髪をなびかせた瞬間、それを逃すまいとファインダー越しにシャッターを切った。 「今日も暇だね〜」 「事件がないのは実にいいことではないか、ワトソンくん」 「それはそうだね。ところで、松田くん。いい加減、その呼び方はやめてくれない?」 「桜高のホームズと呼ばれるこの名探偵にその座を任されたというのに、君は何の不満があるというのかね」  自称桜高のホームズを名乗る僕のクラスメイト、松田くんが変人……いや、こう風変わりであるのはいつものことだ。 「この座を任されたも何も、他に候補がいなかっただけのことじゃないか」
あまもよい
あまもよい
 真夜中の通知ごめんなさい。