不思議なサブスク

 風呂の栓を抜く。ゴポゴポと泡を出しながら水が吸い込まれだした。  人が溺れてるみたい。そんな不謹慎なことを考えながらボーッとそれを見つめていると、お湯の中から見知った男性の顔が出てきた。業者の井口さんだ。私は会釈をした。井口さんも軽く顎を引く。そして井口さんはまたお湯を吸い込み始める。  そしてお湯が全て吸い込まれたあと、井口さんは立ち上がった。  「これで今日の業務も終了となります」  「ああ、ありがとうございました。今月もお疲れ様です」  「いえいえ。仕事ですので。では料金のお支払いをお願いします」  「あっ、すみません。今財布持ってきますね」  そう言って私は財布を取りに行く。私が料金支払いの時に財布を忘れるのは、一年前にこのサブスクを始めてから四回目だ。  風呂場に着いた。井口さんは浴槽の中で直立して待ってくれている。  「お待たせしてすみません」
兎兎
兎兎
気の向くままに書いてます サクッと読めるタイプではないかもしれません