第三話 安らぎを置いてきた者
リーナ、アマリア……本当に済まない。お前たちを残して一人で逝ってしまったことを許してくれ。
俺は死んだ。ほんの一瞬の油断が運命を決めた。あの時ああしていれば、こうしていればと何度も頭の中でフラッシュバックする。
「情けねえにもほどがあるだろ……」
だが俺は生き返った。母国ではなく、全く別の世界で。最初は酷く混乱した。周りに何も無い荒野で目を覚まし、何度も妻と娘の名前を叫んだ。だが戦場を共にした仲間も、敵すらもそこにはいなかった。
しばらくして中世の鎧姿をした兵士の部隊に保護されたが、どんなに状況を理解しても、何故俺が生きているのかが分からない。
俺は今その兵士の詰め所だろう休憩室の硬いベッドの上に座って項垂れる。娘のことが頭に過ぎるたびに、もう会えないと察し、兵士たちに迷惑をかけてでも戦意が喪失する。そこに来るのは部屋のドアをノックして入ってくるいつもの兵士だ。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/5/21 10:54
影白/Leiren Storathijs
実は26歳社会人です。
基本ライトノベル書きます。
異世界ファンタジー専門です。
執筆歴は10年以上です。