夕暮れと飲み物と推しと私 その8 「僕には鳥の言葉がわかる」

『僕には鳥の言葉がわかる/鈴木俊貴』  私が今住んでいる生活範囲には、自然が多い。なんせ、歩いて5分もかからず森の中へと足を踏み入れることができる。  自然が多いと、動物との出会いも少しながらある。今年に入ってから、野生のキツネを3回ほど見かけた。流石にクマは、見たことがないし、見ていたらこの文章を書くことができるかどうかも怪しい。  子供の頃には、学校の行事で訪れた施設の中で、ヘビを踏んづけたこともある。高校時代には、グラウンドにシカがでた。  新卒で入った職場は、本当に“ド田舎”という言葉がピッタリの場所だった。野生のリスを車で轢きそうになったり、生まれてはじめて野生のタヌキを見た。  野生動物との数々の意図しない出会いが何度もあったけれど、彼らの鳴き声というものを聞く機会というのは、案外少ない。大抵の動物は、人間を見ると逃げてしまう。逃げないで鳴き声を発し始めたら、多分威嚇されているんじゃないかと判断して、私が立ち去る可能性も高い。  だから、私の中で聞くことが多いのは、鳥の声が多い。何の鳥か、種類の判別はつかないが、時おり鳴き声が小さく聞こえてくる。彼らは、何を思っているんだろう。どういう意味で、どんな理由で鳴いているんだろう。それを想像すると、何だか鳥との距離が近くなったように思える。 『僕には鳥の言葉がわかる』は、著者がシジュウカラという鳥の鳴き声に、感情表現だけではない人間の言葉と同じように意味があることを証明する軌跡の本だ。真っ直ぐな動物言語学への想いが、感じられる真摯な作品である。「なんだか難しそう……」と感じるかもしれないが、そんなことはない。知識がなくても、この作品を読み終えるころには鳥に親近感がわいてくるだろ。さぁ、お気に入りの飲み物とお菓子を用意して、動物言語学の世界へ飛び込んでみよう。
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。