禍福はあざなえる縄のごとし

 廊下は、走っては行けない。  そんな当たり前のルールを優等生と言われる高木は、無視して廊下を走る。  走って、階段も最後の2段ほどは飛び降りて、ある少年を追いかける。  目的の人物は、ちょうど上履きから外靴へと履き替えたところのようだ。 「花田くん」  呼び止められた少年、花田は返事もなく振り返った。 「一緒に打ち上げ行こうよ、きっと楽しいよ」  今日は、高木と花田が通う学校で球技大会が開かれた。  2人のクラスの順位は、総合4位だったが、派手に打ち上げをやろうという話が持ち上がった。  クラスメイト全員が参加すると思っていたが、花田は短く「行かない」と答えて、教室を去って行った。
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。