寿楽荘、曰く憑きにつき〈3〉
「あったま痛えぇ・・・」
ガンガンする頭の痛みで柳田は目を覚ました。
あの後、コンビニでビールやら日本酒やらを大量に買い込むと、自宅から程近い公園のベンチで一人寂しく飲んでいた。
自棄酒の意味もあるのだが、それにしても飲み過ぎた。明け方、外が明るくなるまでの二時間足らずでビール缶を六本。日本酒を瓶で二本空けていた。酔うと独り言が多くなる柳田は、夜中誰も居ない公園で一人ブツブツ言いながら飲んだくれていた訳で、傍から見たら不審過ぎて通報案件である。
記憶があやふやで自宅までどうやって戻って来たのかは定かではないが自身の布団で寝ていたと言う事は無事何事もなく帰って来れたのだろう。柳田自身は酷い二日酔いでそんな事を考える余裕もなさそうだが。
柳田はガンガンと痛む頭を押さえながら、取り敢えずグラスに並々と水道水を注ぐと、それをグイッと一気に煽った。
ちらりと外に目をやると太陽は既に天辺を通り過ぎて少し西に傾き始めていた。
「せっかくの休みなのに寝過ぎたな・・・」
そう思ったその時、柳田のスマホが鳴り出した。
画面を見ると異動先の支店で仲良くなった同じ課の同僚、溝口からだった。休みの日に何の用事かと顔を顰めながらも柳田は直ぐに〝通話〟のボタンをタッチする。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2022/1/5 14:19
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
華月雪兎-Yuto Hanatsuki-
皆様初めまして。華月雪兎です🐇
「雪」に「兎」と書いて「ゆと」と申します💡
現在は掌編、SS、短編から中編サイズの小説を書かせて頂いております。
恋愛系短編集
『恋愛模様』
ミステリ/ホラー系短編集
『怪奇蒐集録』
をエブリスタ、Noveleeにて不定期連載中📖🖊