カスミソウ

カスミソウ
六月。 じっとりとした暑さが日常になってきた。 自信満々に照っている太陽は、背中に背負うリュックの重さと相まって、俺の体力を削っていた。 誰もいない、田舎の細道。「暑い…」と呟いた一言が、周りの空気に溶けていく。 学校が半日で終わり、一日の暑さがピークに達した時に下校とは、学校は鬼畜だ。さらには、明日に提出しなければならないレポートがまだ終わっていない。学校は本当の鬼のようだ。 生きづらい世の中になっちまったな、とか、一人で考えていると、足元の花に目が留まった。 たしか、カスミソウ、という花だ。暑い日光を、気持ちよさそうに浴びている。 ふと、思い出す。この花を見つけた時のこと。 何年も前、もう何歳かは覚えていないけれど、確か小学校高学年くらいだった。
冬華
冬華
書きたくなったら書きます。思うように、手の動きに任せて。 そんな作品でよければ、ゆっくり読んでいってください。