旅立ち編③

街から逃れたアベル達は東の森を進んでいた。郊外の森は暗く沈み、昼間も夜のようだ。魔物も多く歩いているだけで危険を感じる。アベル達は身を隠しながら、魔物達が追えない速度で移動している。もはや人間業では無い。 「アベルさん、、、シャドウまでどのくらいですか」 グレースはこの5人の中で最も体力がないため、若干息が上がって遅れ気味になっている。 「このペースなら4日ほどか、、、この森は昼の間に抜けたいから暫くはこのペースだ。耐えてくれ」 そグレースは苦しそうな顔をしながらも必死に4人のペースについて行っている。森を抜けるにはあと半日、夕方になるだろう。森を抜けた先には何があるのだろうか。 「誤算だったな、、、森が長い」 今朝からあのペースを崩さず進んできたのにまだ森を抜けず、日が落ちている。元々夜のように暗い森だったが、日が落ちて僅かな光も消えてしまっている。木や石の輪郭さえ見えないくらい深い闇がアベル達を包み込んでいる。 「東は元々樹海だしなぁ。なっがいのも無理ないよねぇ」 ロゴスが気のの抜けた声で言う。低い位置からグレースの呻くような声も聞こえている。
ホネナシちきん
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