沼の怪異

沼の怪異  その昔、現在の神奈川の平塚市北部に岡崎四郎と言う国主あり、その領地内に、その地名を沼目、大島、小島、木島などと言われる、沼地地帯があり、その地帯はその名の通り、広大な沼地に点続きにそれは島の様に浮かぶ陸地があり、その島を繋ぐ様に浅い桟橋がかけられていた。 その橋の上を戌の刻(20時)に四郎その家臣、山中平次は命を受け歩いていた。 そして領民の訴え通り、闇夜に複数体、不意に不気味に光るそれは海月の様な浮遊体が現れ、平次の周りを取り囲み、次々と体当たりをして来る、その様は人を橋から暗い沼地へ落とすものと思いけり。 しかし平次は色白で小柄ながらも肝が座った男であり、口に咥えた草を吐き捨てると、冷静に太刀を振り次々とその海月共を間合い内に的確に捉え、切り捨ててゆく、その足元には砕けた髑髏(こうべ)が転がる。 『これは沼に打ち捨てられた者の怨念か、哀れ』と思い平次は「南!」ガッシャ! 「無!」ガシャ! 「妙!」ガッシャン! 「法!」ガッン!
仙 岳美
仙 岳美
下記活動サイト    記    ・小説家になろう  ・アルファポリス  ・カクヨム  ・X  ・web小説アンテナ