叶わないもの(5)

叶わないもの(5)
 今日は、いわば学年レクレーションのようなものであるクラスマッチがある。一学年のクラス対抗で行われる。午前はバレーボールかバスケットボール、午後はドッジボールかサッカーをやる。私はバレーとドッジに出る予定だ。ついでに、綺羅くんと光輝くんと3人で同じ種目を選んだ。  午前種目のバレーボール。私は高校では帰宅部だが、中学のときはバレー部だったため一応経験者ではある。また、私のクラスは経験者が私しかいないため、私はセッターをやることになった。男子と同じコートにいると自分の背が低く感じてつらい。そこまで小柄でもないんだけどなぁ、。  相手がサーブを打つ。自チームがレシーブをあげる。私がレフトにトスをあげる。それを綺羅くんが打つ。あれ?意外にもうちのクラス上手かもしれない。スパイクを決めた綺羅くんとハイタッチをする。コロナ禍ではあるが、今日は競技中のみマスクを着用しなくても良いと許可が出ている。入学してからというもの、マスク生活のためちゃんと顔を見たことがなかったが、綺羅くんがイケメン。やばい。笑顔の破壊力えげつない。そんな私の驚きもよそに試合は進んでいき、初戦勝利を飾った。  何試合か終わった後、私たちの試合が入っていない時間、つまり自由時間があった。その時間、私は綺羅くんと光輝くんとパスをすることした。綺羅くんがちょっとイヤイヤだったので、ボールを取りに行くのに一緒に連れて行こうと思った。左手で綺羅くんの右手を掴み連れて行こうとすると、綺羅くんの右腕が少し上に上がった。嫌だったかなと思い左手を離すと、『左はダメ』と綺羅くんが言った。最初は意味がわからなかった。それを察したように綺羅くんが『さっきの試合でレシーブ乱れたやつをカバーしたときに左手痛めたでしょ。そのあと少し左手痛そうにしてたから。』と言った。確かに私は左手を先ほどの試合で痛めた。ただ誰にもバレていないと思っていたので正直驚いたが、「ありがとう」と言ってそのままボールを取りに行った。その後、試合では勝利を重ね、バレーボールの部を優勝することができた。  午後にあったドッジボールでは、綺羅くんが逃げるわ逃げるわで、最後の1人になっても逃げ続けていて、「すご!」と思っていた。また、女子に投げる時は優しく投げているところから綺羅くんの優しさが出ていて、「この人隠れファン増やしたんじゃないかな」っと思ったりもしていた。  その日、綺羅くんと初のツーショットを撮れて私はとても満足だった。なぜ初かって?それは綺羅くんが写真嫌いだから。光輝くんとの写真はたくさんあるのに、綺羅くんとの写真は今まで一つもなかったのだ。私にとってとても幸せな一日であり、とても濃い一日を過ごすことができた。  ついでに、今日は光輝くんは違う男友達と行動していたため、一緒にいた時間はほとんどなかった。    この時、すでに恋に落ちていたことを私はのちに知る。
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