眠れない夜に

 たぶん、ずっと一人だったなら、一人で寂しいなんて思わないでいれた。  なのに、また、誰かを求めて、違う何処かなら、もしかしたらって思って、走って、転んで、膝が痛くて、泣き出すんだ。  思ってたのと違うって、泣き出して、また探して。  馬鹿みたいだなって、思う。  たくさん失くして、病んで、なにもないようかに思えても、なにかはあって、なにかにはなるんだろう。  産まれたときは、なにも持ってなくて、気がついたら増えてって、失ってを繰り返して、虚しいようだけど、そうやって、なにかあった。が、増えていくことは、嬉しいことだと思う。  失くしたことがかなしいのは、それだけ大事だったことを大事にしていきたい。
英兎