人間

人間
 突然ではございますが、醜い生き物とはなんだと思いましょうか、鳥、虫、いえ、人間です。私や、貴方々と同じ人間なのです。なぜ、人間が醜いかって、それは言わずともわかっているでしょう?なに、私はそこまで意地悪ではございませんよ。少しばかり、話を聞いてくださりませんか。  我々は、今日も生きております、生きるためには、当然ながら、衣食住が必要でございます。そのために、我々人間は環境を破壊しているのです。木を切るなとは言っておりません、動物を害すなとも言っておりません、これらは全て生きるために必要なことなんですから、しょうがないのです。  さて、急に話題を変えてしまいますが、貴方は善と悪について考えたことがありますでしょうか。盗みを働くのは悪いことでございましょう、人を殺めるのも悪いことでございましょう。それでは、今一度思い出してみてください。生きるのに必要なことでしたら、本当に盗みを働くことや、人を殺めることは、悪でありましょうか。善と悪、これらを区別してはいけないと私は思うのです。一例と致しまして、芥川龍之介先生の作品、 「羅生門」では、生きる為ならば、盗みを働いても良い、しょうがない、下人は老婆の言葉から、そのような自我を生み出したのです。えぇ、時代背景はもちろん違いますよ。ですが、今も昔も、人間という生き物は変わりありません。何が言いたいのかと言いますと、我々は生きるためという言い訳をしているのです。結局はそういう事なのです。  我々は、今日も言い訳をし、息をしています。自分の欲望のままに生きております。私も、貴方も同じ人間です、こんなにも醜い生き物はいません。しかし、この醜さに人間らしさがあると思うのです。  人間はとても醜い生き物です。
琉璃
琉璃
文豪に憧れた学生。