七夕

 離婚届にサインをしてから、半年経って、毎月一度は、会える距離だった。  その日は七夕祭りをしていて、子ども達を誘ってみた。  陽射しが暑いというか、重いというか、ただ、歩いているだけで汗だくだった。  暑い、暑いと文句を言いながら、僕らは歩いていた。 「あの、旗がある所?」と、暖人が、砂漠で見つけたオアシスみたいな顔で尋ねた。 「違うよ。アレはビアガーデンだね」そう言うと、まぼろしかー、と言って、肩を落とした。 「パパ、あーちゃんはもう、ダメかも」あかりも挫けてきた。抱っこをしようかとも思ったけど、多分、余計暑くなるだけだから、やめておいた。 「ほら、着いたよ」そう言うと、二人はちょっと元気になった。 「お祭り久しぶり!」ちょっと、心が軋む。 「とりあえず、なんか食べよう」暑いから、かき氷とポテトを買った。
英兎