一番星

本当にこの街に帰宅する人のラッシュなのか、と疑いたくなるほど駅前は人で混み合っている。大した街ではないため、少し歩けば人通りはまばらだ。 マフラーに顔を埋めながら歩いていると、香ばしい匂いが鼻先をかすめた。 「やっぱりさ、人間って傲慢だと思うの」 甘辛タレの焼き鳥を、頬張りながら妻は言った。たしか、仕事終わりにお互い駅で降りた時間が被り、そのままチェーンの居酒屋で夕食を済ますことになった。
moon6
読むのが好きで勢いで書いたりしてます。 下手の物好きの横好き