守護の拳

守護の拳
4話 静夜の影 白い息が、夜の闇に溶けていく。 あれほど荒れていた空気が、嘘のように静まり返っていた。 足元には、まだ動けないまま倒れている二つの影。 久津と草村は既に逃走し、路地には静寂だけが残っていた。 遠くからパトカーのサイレンが、かすかに反響している。 優子は胸の前で手を握りしめ、蓮の背中を見つめていた。
鴉羽大地
鴉羽大地
昨年から少しずつ書き進めている小説のテーマは「武道」です。私がこれまでに学び、経験してきた少林寺拳法や武道の哲学を物語に込めています。主人公が己を磨きながら困難を乗り越える姿を描く中で、「力」と「正義」のバランスや、人とのつながりの大切さといった普遍的なテーマに挑んでいます。