首が無い男、胴が無い女
昔、男ありけり。そう格好付けてみても、結局はそれだけの話で、そこで終わりの筈だった。ああ、いや、昔、男首なかりけり。そういう話でもあったか。
それは誰も知らぬ内に、男の腕の中にあった。ありきたりな編み方で編まれたくせに、やけに精巧な作りの籠。その中から声がする。
「首無しの旦那、ちょいと話を聞いとくれ。」
それが全ての始まりだった。
何も食えぬが生きられる首無しのその男。日当たりの良い縁側の部屋に布団を敷いて、そこで寝るしか無かった男。籠をそっと抱いてからは、寝るまで布団の上に胡座をかいた。何もない方を向いて日を浴びながら、籠を抱いて、籠に勝手を許した。元から寡黙な性分であったかのように、籠を抱え続けた。いつしかその籠が朽ち果て、女の頭だけが胡座の上に残っても、男は何も変わらなかった。
今はもう、誰一人として寄りつかない朽ちた屋敷の奥では女の囀るような喋り声が、絶えず響いている。それに男は無い首を傾けたり頷いたり。しかし依然として寡黙なまま。
当然男に耳はない。故に明記は避けるが、男が今日も日に胸を向けて胡座をかき、女の御髪を撫でていることは、確かであると言っておこう。
2
閲覧数: 55
文字数: 497
カテゴリー: その他
投稿日時: 2026/10/24 13:24
最終編集日時: 2026/10/24 13:27
あいびぃ
初めまして、あいびぃです!
見つけてくれてありがとう♪
私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。
詳しいことは「自己紹介」にて!
まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします!